公開:2017-10-7 > 更新:2017-10-15 海外FX業者
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前回の「新レバレッジ規制案 (10倍)」関連の記事に引き続き、その根拠として上げられている「規制の見直しで日本発の市場混乱を防ぐ」という文章に込められた意味について考えてみました。

 

tokyo-image

 

前回の、

 

  国内FXがレバレッジ10倍に!FX業者やトレーダーへの影響は?

 

のなかで、

 

「金融庁が新レバレッジ10倍規制を検討している」

 

という新聞報道記事を引用しましたが、その記事のなかに、

 

国内取引高は5千兆円に上る。 規制見直しで日本発の市場混乱を防ぐ。

 

という興味深い文章がありました。

 

5千兆円に上る

 

という取引高の情報ソースや、どれくらいの期間による金額なのか詳細がよく分からないのですが、 

 

日本発の市場混乱を防ぐ

 

というあたりからして、文脈を素直に読むと、

 

前回の規制で世界最低レベルのレバレッジ倍率になったにもかかわらず、以降も日本の個人FXトレーダーが増え続け、ついには取引高が5000兆円という凄まじい金額にまで膨らんだため、日本人トレーダーが引き金となってリーマン・ショックのような世界的金融クラッシュを引き起こすことがないように規制を強化する

 

このようなニュアンスになります。

 

FX専業トレーダーの自分としては、思わず、

 

「ついに日本の個人FXトレーダーが世界の金融市場を揺るがすようになったのか..」

「感無量だな..」

 

と感慨に浸りつつ、

 

「レバレッジ25倍という超絶不利な条件でも個人FXトレーダーが激増中ということか..」

 

などとウスぼんやりと考えていたのですが、

 

日本発

 

という単語から、ふと、

 

「ということは世界のFX市場で日本の存在感があまりにも大き過ぎるということかな?」

 

と思い、自分でも調べてみることにしました。

 

その結果、

 

外国為替取引額シェア (国別) トップ10

forex-trading-share

※BIS (国際決済銀行) の統計データより作成

 

このように、2016年の段階で日本が5位につけていることが分かりました。 トップ5にラインクインしているのは素晴らしいんですが、シェアがたったの6%程度です。 シンガポールや香港よりも下です。

 

「ということは、そのシェアにおいて日本が凄まじい追い上げを見せているということか?」

 

と思い、シェアの推移を計算してみたところ、

 

forex-trading-sahre-graph

 

このように、もっぱら右肩下がりで、とくに2007年からは6%前後の安定ヨコヨコ推移になっています。

 

さらに、取引高についても、2010年からの増加率を比べると、

 

 icon-angle-right イギリス: 29.8%

 icon-angle-right アメリカ: 40.7%

 icon-angle-right シンガポール: 94.4%

 icon-angle-right 香港: 83.6%

 icon-angle-right 日本: 27.9%

 

という状況で、(やはり前回のレバレッジ規制の影響が大きかったのか) トップ5のなかでは最低です。

 

ほんの20年ほど前の1995年当時は、世界的な金融マーケットを擁するイギリス (シティ) と、アメリカ (ウォール街) に次いで3位につけ、アジアの金融ハブとしての存在感も漂っていましたが、この10年間でシンガポールと香港に抜き去られて順調に5位までランクダウンしています。

 

イギリスやアメリカ、そして、シンガポールや香港のFX市場が世界中のトレーダーによって構成されているのに対し、日本の場合はほぼ全員が日本に住む日本人だということを差っ引いて考えても、たった6%ほどのシェアで、ロンドンやNY勢を押しのけて世界の金融市場を揺るがすようなインパクトをぶちまけるとも思えません。

 

ちなみに、1日あたりの取引額が3990億ドルということは、年間で、

 

3990億ドル × 250日 = 99兆7500億ドル

 

になるので、1ドル = 100円で計算しても、

 

99兆7500億ドル × 100円 = 9975兆円

 

ですが、もし、上で引用した5000兆円というのが個人トレーダーの年間取引額だと仮定したら、

 

5000兆円 ÷ 9975兆円 ≒ 50%

 

となり、半分あまりを占めることになります。

 

なので、新レバレッジ規制が施行されたら (ほぼ間違いなく実現すると思いますが)、前回の記事でも書いたとおり、FX業者に入金すべき必要証拠金の金額が跳ね上がるので、少なくとも国内業者を利用する個人トレーダーが激減し、さらなるシェア・ダウンが予想されます。

 

日本の個人トレーダーは、(あらためて書くまでもなく) 世界的にも 『ミセス・ワタナベ』 の異名で、

 

  日本円売り

  外貨買い

 icon-angle-right つまり円安要因

 

という、日本政府のモクロミと同じ方向の取引が圧倒的に多いことで有名ですが、なぜゆえ、この絶大なる政府協力筋を排除しようとするのか、その理由がよく分かりません。

 

あと、自分などは、

 

ロンドン・ニューヨーク・東京

 

のように、日本が世界3大為替市場の一角として存在している方が、よほど日本経済の存在感と日本円の影響力が維持できるように思えます。

 

などという個人的感想はさておき、ここで注目したいのは、

 

前回のレバレッジ規制があった2010年~2011年と比べて、世界のFX市場に占める日本のシェアが変わっていない (むしろ取引の伸びは減少気味)

 

という事実です。

 

これでは、

 

日本の個人トレーダーが引き金となって世界の金融市場に危機を引き起こす恐れがある

 

という理由に説得力がありません。

 

それに、どう考えてもFXよりも株価指数の方がボラティリティが高いのですが (データ略)、現状でもレバレッジの倍率が、

 

  株価指数: 33倍

  FX: 25倍

 

と逆転していて、これが、新規制では、

 

  株価指数: 33倍

  FX: 10倍

 

と、3分の1以下になります。

 

もし、

 

日本発の市場混乱を防ぐ

 

という目的であれば、すべての金融取引のレバレッジを同時に規制する必要があるのではないでしょうか。

 

ここで、今回のFXトレードだけをターゲットにした新レバレッジ規制案について得意の妄想を繰り広げてみると、もしかして、

 

異次元緩和と称して円安誘導のために年金財源を使って買い上げてきた米ドルを、(年金財政が破綻状態なので)、順次、利食いしながら放出したい

 

のかもしれません。

 

この場合、金額が金額なだけに怒涛の円高ラッシュとなり、リーマン・ショック以来のミセス・ワタナベ勢殺戮相場と化すので、日本国内のマネーが激減するのを避けるための事前退避勧告ということになるでしょうか。

 

あるいは、 『iDeCo』 や 『積立型NISA』 といった株取引に関する優遇税制がどんどん生まれている状況を見ていても、

 

日銀が日系225ETFを書い続ける体力がなくなってきたので、代わりに一般国民に (FXではなく株を) ジャンジャンバリバリと買わせて株価を維持したい

 

のかもしれません。

 

この場合、オモワク通りに国民が株価維持に協力できないと、日銀の体力が尽きると同時に世界中の投機筋から売り浴びせをくらって株価が暴落することになり、「公的日系平均株価維持政策 (通称アベノミクス)」 が失敗に終わります。

 

というか、個人投資家やトレーダーが株からFXへシフトしている理由を無視して、その流れを無理やり規制で捻じ曲げようとしてもうまくいくとは思えません。

 

ということで長くなりましたが、前回に引き続き、新レバレッジ規制案について考えてみました。

 

ちなみに、自分が前回 (2010年~2011年) のレバレッジ規制をきっかけにして海外のFX業者へ乗りかえた経緯や、国内・海外FX業者の比較、海外業者の使い勝手などは、

 

  海外・国内FX業者比較&使用感まとめ

 

のなかで詳しく書いています。

 

 icon-exclamation-circle 追記 (2017年10月15日)

 

引き続き、サイバー空間を徘徊して本件に関する情報を収集していたところ、

 

『東京金融取引所』 で運営されている 『くりっく365』 のレバレッジを25倍に据え置くことで、他のFX業者からの顧客奪還を図っているのではないか

 

との情報が数多くアップされていたので追記しておきます。



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