公開:2017-9-16 > 更新:2017-9-26 トレード・スキル・アップ
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伝説のトレーダー集団 『タートルズ』 ですが、チームの全員が爆益をあげたわけではなく、利益を出せない落ちこぼれメンバーも存在したという現実から、トレーダーとして学ぶべき教訓について考えてみました。

 

turtle-image

 

以前に、

 

  「タートル流投資の魔術」を試してみた結果…

 

という記事でも取り上げた、伝説のトレーダー集団 『タートルズ』 ですが、今回は、その伝説集団のなかにも神リターンをあげたメンバーと、逆に損失を重ねて落ちこぼれてしまったメンバーが存在したという事実や、そこから考えるべき教訓について書いてみようと思います。

 

以前の記事と重複するので、 『タートルズ』 や、『タートル流投資の魔術 (カーティス・フェイス著)』 についての詳しい説明は割愛しますが、この逸話が伝説化している理由として、4年半の間に数百億円のリターンをあげたという実績は当然としても、それ以外に、

 

エッジ (確率的優位性) のある手法を使えばトレード未経験者でも利益を出せる

 

ということを実証し、後のシステムトレードの隆盛に大きく貢献したことにあると考えています。

 

この 『タートルズ』 の成功によって、結果的には主催者である、

 

  リチャード・デニス

  ウィリアム・エックハート

 

というカリスマ・トレーダー2人は、プログラム期間中にメンバーが生み出した凄まじい利益を手にしたのですが、そもそも、この前代未聞の実験には、

 

トレードで爆益をあげるために必要なのは「技術」か「才能」か

 

という2人の論争に決着をつけるべく、結果がどうなるかまったく分からない状況で、莫大な私財と時間をかけて検証がおこなわれたという背景があります。

 

  技術

  才能

 

とは、言いかえると、

 

  技術 = 努力で身に付けるスキル

  才能 = 生まれつき持っている天才的能力

 

とも表現できると思いますが、1970~80年代の、パソコンや、まして、インターネットなど存在しない、21世紀の現在とは環境がまったく異なる時代を考えると、当時、トレードで稼ぐには特別な能力が不可欠であるという考え方が完全に主流だったのではないかと思います。

 

伝説集団 『タートルズ』 とはどのようにして結成されたのか

 

この 『タートルズ』 が結成されたいきさつや経緯については、第一期の最年少メンバーにして最高利益をたたき出したカーティス・フェイスによって著書のなかで詳述されているので引用します。

 

1980年代の末、当時のカリスマトレーダーであり、親友同士でもあった、

 

  リッチ (リチャード・デニス)

  ビル (ウィリアム・エックハート)

 

の2人によって、「トレーダーは育成可能か否か」という長年の論争に決着をつけるべく、

 

  ウォールストリート・ジャーナル

  バロンズ

  ニューヨーク・タイムズ

 

という主要経済新聞や雑誌に、

 

「トレーダー研修生募集」

 

の広告を出すことになった。

 

その広告には、「研修生にはリチャード・デニスが直々にトレーディングを伝授し、実習に入る際には、ひとりにつき100万ドル (約1億円) の口座運用を任せる」と謳ってあった。

 

この時、リッチは、

 

「初心者の集団でも鍛えれば優れたトレーダーになる」

 

と考えていたが、ビルには、

 

「トレーダーに必要なのは教育ではなく素質だ」

 

という信念があった。

 

このような経緯で掲載された「トレーダー研修生」の募集には、1000人を超える応募者が殺到し、そのなかから、「第一級の知力を持つ」メンバーが選出されることになります。

 

そのメンバーとは、

 

  ギャンブルとゲームに並々ならぬ興味を持つ有名RPGゲーム 『ダンジョン & ドラゴンズ』 の編集者

  シカゴ大学の言語学博士号を持つ人物

  カーギル社 (米国最大級の穀物企業) のトレーダー

  トレーディング経験のある人物数名

  会計士

  ブラックジャックとバックギャモンのプロギャンブラー

 

といった多彩なキャスティングで、

 

  総勢13名 (男性11名・女性2名)

  多くがトレード経験者

  ほとんどが30代で、20代半ばとおぼしき2名と、自分 (19歳)

 

という構成であり、後に、『タートルズ』 のトレード実習において最高のリターンを叩き出すことになるカーティス・フェイス自身が、

 

それまでに会ったなかで最高に頭の切れるグループであった

 

と評しています。

 

『タートルズ』 のプログラム内容と実習結果

 

そのようにして集められた、「第一級の知力を持つ」13人のメンバーが受けることになった研修内容とはどのようなものであったのか、ふたたび、カーティス・フェイスの著書から引用します。

 

『タートルズ』 のプログラムは、1987年末の2週間を講習にあて、その後、年明けから少額の口座でトレーディングの実習をおこない、1ヶ月のテスト期間中に実績を上げることができれば、各自に100万ドルの口座を任せるという内容だった。

 

つまり、システムトレードによって億万長者になったリチャード・デニスから、そのトレード手法を直々に伝授してもらい、氏の監修のもと、実習で実績をあげれば100万ドル (約1億円) の口座まで準備してくれて、さらなるトレード技術の向上を図ることができるという夢のようなプログラムです。

 

しかしながら、全員が同じ講習を受け、同じ空間と環境で実習をおこなったにもかかわらず、

 

テスト期間が終了した時、 (全員が100万ドルの口座を任されたわけではなく) 100万ドル満額の口座を任された者、もっと少額の口座しか与えられなかった者、テスト期間中の金額でそのままトレードを続けるように申し渡された者がいた。

 

という結果になったのだそうです。

 

ちなみに、カーティス・フェイス自身は、メンバー最年少で、トレード経験がなかったにもかかわらず、

 

驚いたことに、リッチはなんとわたしに200万ドルの口座を用意してくれた。

 

という最高額の口座運用を任されることになります。

 

その理由について、自身では、

 

  過去の希少な経験

  実証テスト開始早々の「灯油」のトレード結果

 

にあったと分析しています。

 

まず、「過去の希少な経験」ですが、

 

1983年、パソコンなどほとんど普及していなかった時代に、高校の放課後のアルバイトで 『アップルⅡ』 のコンピュータを使い、トレーディングシステムをテストするプログラムを30~40種類作った。 後にそれが、当時、最先端のトレード研究だったことを知った。

 

という経験があったため、

 

リッチの研修内容を他のメンバーよりも深く素直に理解して信頼することができた。

 

と書いています。

 

次に、「テスト開始早々に起こった灯油のトレード」ですが、長くなるので概要について引用します。

 

実習を開始して間もなく、「灯油」の書いサインが発生したため、講習で教わったルールに忠実に従ってトレードをおこない、淡々と買い増していった。

 

ところが、他のメンバーは、

 

「始まったばっかりの実習で失敗するのが嫌だった」

「2月限の灯油があと数週間で期日を迎えることを危惧した」

「単に、もっと保守的なトレードスタイルを好んだ」

 

といった理由で、そもそも取引をしていなかったり、教わったルール通りにポジションを持っていなかった。

 

その後、大きな下落に見舞われた局面では、かろうじてポジションを保有していたメンバーも次々に安値で手仕舞いしていったが、自分は、教わったとおりに損切りラインまで持ち続けるというルールを守り通した。

 

結局、ディールが終わってみると、限度額一杯までポジションを維持していたのは自分だけであり、他のメンバーの3倍の利益を稼いでいた。

 

このディールについて、

 

どうして、自分と同じ講習を受けながら、システムに従わなかったのか不思議で仕方がなかった。

 

と思ったそうですが、実際のところ、

 

メンバーのほとんどが最初のひと月の経験から多くを学び、その後、数ヶ月で勝つトレーダーに成長したにもかかわらず、負け記録を更新し続けてプログラムから落ちこぼれたメンバーもいた。

 

のだそうです。

 

そして、1ヶ月のトレード実習が終了した後、全員でミーティングをおこなった際に、リチャード・デニスが、例の「灯油」の取引を取り上げ、

 

「どうしてルール通りにトレードしなかったのか?」

 

と質問したところ、メンバーからは、

 

「リスクが高すぎると思った」

「相場の上がり具合が速すぎると思った」

「期日まであと数日しかない相場では値動きも終わりだと思った」

 

という意見があがったとのことで、この経験から、カーティス・フェイスは、

 

講習で、「トレンドを掴み損ねるな」と耳にタコができるほど聞かされていたにもかかわらず、講習終了後、わずか数週間でメンバーの多くがむざむざチャンスを逃していた。

 

もし、口座総額の100万ドルをそっくりこの取引につぎ込んでいたら、口座資金を1.5倍にすることができていたにもかかわらずだ。 馬鹿げた話ではないか。

 

当時、もっとも有名なトレーダーにまったく同じことを教わった、飛び抜けて聡明な人達であってもこうなのだ。

 

結局、最高の成績を誇ったメンバーと最悪の成績を残したメンバーの違いは、詰まるところ知識とは関係なく、すべては感情的・心理的要因であった。

 

と結論付けています。

 

この逸話から思うこと

 

世界三大投資家のひとりであるウォーレン・バフェット氏と、

 

昼食を一緒に食べる権利

 

のオークションが、毎回、異様な高額で落札されるというニュースをよく目にしますが、直近のオークションでは落札価格が約3億円だったそうです。

 

何時間ほど話ができるのかは知りませんが、世界的著名投資家と「メシを一緒に食いながら質問ができる権利」が、サラリーマンが一生涯かけて稼ぐ収入と同じ価値を持つということになります。

 

そういう意味でも、この 『タートルズ』 の募集に、全米の「第一級の知力を持つ」多種多彩な人物から応募が殺到したのは当然だったと思います。

 

今現在で例えるなら、ジョージ・ソロス氏から、今までに莫大な資産を築いてきたトレードのやり方を完全無料で教えてもらい、その上、実習として口座資金を最高で1億円も用意してもらってトレーダーとしての訓練を受けられるという夢のような企画です。

 

そんな生涯に1度あるかないかという超貴重な機会に恵まれたにもかかわらず、伝授されたシンプルなルールに従い、 (自腹ではなく) 準備してもらった大金でトレードすることができずに落ちこぼれてしまったメンバーが存在するわけです。

 

繰り返しますが、1000人を超える応募者のなかから、「第一級の知力を持つ」候補者として選び抜かれた13人の精鋭チームです。

 

確かに、この時に 『タートルズ』 が用いていた、

 

ドンチャン・チャンネルのブレークアウトによるトレンド・フォロー

 

というのは、

 

直近の最も高値で買い増し、最も安値で売り増す

 

という手法であり、常人の真っ当な感覚では、すぐにでも反転して暴騰・暴落するように感じてしまう局面で、本能的に「怖い」と感じる行動を取り続けなければなりません。

 

しかし、2週間の講習で、ベースとなる確率的な理論から、「聖杯」とも言えるトレードの具体的な方法に至るまで詳細に教わり、

 

講習期間が終わると、メンバーの誰もが取引をしたくてウズウズし始めた

 

という、まさにそのタイミングで始まった実習であっても、ほとんどはルールに従ってトレードを続けることができず、期間中に損失を重ねて落ちこぼれてしまったメンバーまで存在します。

 

この事実からトレーダーとして考えるべき教訓とは一体何なのか?

 

自分には、

 

優位性が実証されたシステムでトレードをしていても、「恐怖」や「欲望」という本能レベルの感情を完全に排除しないかぎり最終的に勝利することはできない

 

という非情な現実に思えます。



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